2026/08/06(木)KiCAD での回路図作成

2026/08/06 01:50 電子工作

作業開始前に、予め導入しておいたほうがよいプラグイン

KiCAD は、「プラグイン」で機能が拡張できる仕組みが備わっています。
KiCAD を起動した際のメニュー画面の最も下にある「プラグイン&コンテンツ マネージャー」のアイコン部分をダブルクリックします。
20260805_1.png


すると、下記のような別のウィンドウが表示されます:
20260805_2.png


ここで、インストール対象プラグインの「インストール」ボタンをクリックし、
プラグインインストールを実施します。
注意点は、「インストール」ボタンのクリックだけではインストールされず、画面右下の「保留中の変更を適用」を更にクリックしないと、全くインストールされないことが挙げられます。

当方で、追加でインストールしたほうが良いと思ったプラグインは、以下の3つ。
20260805_3.png


KiCAD には、予め多くの回路図記号や部品のプリントパターン(「フットプリント」と称しているようです)が同梱されています。
しかし、当方で活用するにあたって、実情に合わないものや、使いにくいもの・同梱されていないものもあるため、追加でプラグイン導入しています。それが最初の2つ。

最後の1つ「KiCad Routing Tools」は、回路図を作成する段階では一切使用しませんが、プリント基板のパターンを自動で作成するという機能のプラグインです。
同様の機能で「Freerouting」の紹介が殆どを占めるのですが、「Freerouting」は別途 JRE (Java Runtime)が必須で、Java アプリケーションは過去の経験から、必ず何かしらのトラブルを起こすため、積極的に避けた結果です。

KiCAD では、回路図を階層構造に出来る

構築する回路規模が大きくなると、1枚の回路図で収めることは不可能になり、複数枚必要になることは通常よくあることです。むしろ、1枚で全て収まることは少ないと個人的には思います。

20260805_4.png
 
20260805_5.png


上記の図は、一例として左側が階層上位の回路図、右側が階層下位の回路図。
(画像クリックで少し大きな画像が表示されます)
階層上位の回路図では、階層下位の回路図をモジュール化したような描画が可能です。
これにより、全体の接続相関が理解しやすく出来るかと思います。
ちなみに、一例として示した回路図は、A3図面サイズで11ページの分量になっています。

74系/40系 ロジックICは、KiCAD 同梱の回路図記号では、回路図作成上やや難あり

KiCAD で用意されている回路図記号(「シンボル」と称している)は、特にロジックICで使用するMIL記号は不完全です。

例えば
20260805_INV1.png
は、あっても
20260805_INV2.png
は無かったりします。

ですが、KiCAD 自体は「代替割り当て」という機能でこれらを扱うこと自体は容易なのです。
要するに「負論理」を示すMIL図記号が用意されていないものが数多い。
更に、3入力以上のゲートICは、用意されていないものが多数。
なので、面倒でしたが、シンボルエディタで追加しました。

さらに、ロジックIC電源を示す図記号(シンボル)が大きすぎる・・・
20260805_PWR.png
 比較のために、意図的に並べましたが、
 左が KiCAD オリジナル、右が当方で作ったもの。
 従来、1つのICに同機能ものが複数ユニット入っているものは、
 電源ピンは明示的な接続を示さない手法でしたが、
 現在のKiCAD では、電源ピンを別ユニットで明示する方針になっているようです。
74系/40系 ロジックICの図記号(シンボル)だけは、オリジナルの「グローバルライブラリ」を作ったほうがよいです。
グローバルライブラリの保存箇所ですが、基本的に制限は無いですが、Cドライブ内に保存する場合、セキュリティ対策上、一部書き込み不可能な箇所があるため、KiCAD が意図している下記パス配下へ保存すると良いです:
20260805_6.png

※注:ユーザー直下のフォルダ(ディレクトリ)は、通常、サインインするユーザ名

拡張子 .kicad_Sym が回路図記号(「シンボル」と称する)を保存するライブラリになります。
ここで、注意を必要とする点としては、ライブラリを保存しただけでは新たに使えるようにならないということかと思います。
明示的に設定し、更に KiCAD を一度終了・再起動する必要があるようです。

具体的には、回路図エディタから、下記に示すように「設定(r)」 → 「シンボルライブラリを管理...」をクリックし、
20260805_7.png


更に下記に示すように、追加したライブラリを登録します。
20260805_8.png

「有効化」と「表示」の両方にチェックが入っていることを確認します。
ここで、「有効化」のチェックを外すと、該当ライブラリの読み込みをしなくなるため、若干ですが、その分起動や挙動が早くなります。
KiCAD には、5万種類程度のシンボルが予め用意されているものの、「絶対に使うことはないだろう」というものも存在します。「使わないこと」を確信できるものは、ここで「有効化」のチェックを外しておくとよいです。

回路図を描き上げたら・・・

必ず、成すべきこととして「エレクトリカル ルール チェッカー(ERC)」の実施をします。
下記に示すように、回路図エディタから「検査(I)」 → 「エレクトリカル ルール チェッカー(ERC)」をクリックします:
20260805_9.png


すると、下記左側のようなウィンドウが表示されるので、「ERCを実行」をクリックします。
少なくともエラーの数がゼロになるまで、「回路図の修正」と「ERCを実行」を繰り返してください。
20260805_A.png
 
20260805_B.png


こんな感じで、接続漏れ等の問題点が指摘されます。
「エラー」は必ず解消すべき事象、「警告」は都度判断で「解消すべき」か「そのままで問題無しか」の判断を委ねられる事象を示します。

KiCAD の回路図エディタは色々とクセが強いので、慣れるのはやや時間かかりそうです。
次はプリント基板(PCB) エディタでのプリント基板設計工程になります。

2026/06/29(月)今更ながら KiCAD への移行を始める・・・

2026/08/05 22:33 電子工作
いつもの個人メモですが、KiCAD を触ったことが無い方や関心だけお持ちの方には有益な内容かと思います。

概要・イントロダクション

KiCAD は、電子機器回路図の作成から、シミュレーション、プリント基板の配線パターン設計まで、ひとつのツールで行えるCADソフトウェアです。こういったものは一般に「EDA」と言われています。
大企業では、かつて大型コンピュータ(メインフレーム)を使って、既に業務に供していた開発ツールのひとつで、当方も業務の一環で使っていました。

ある程度、回路図プリント基板の配線パターン設計を自動化する機能があります。
まだ、試したことはないですが、シミュレーションはSpice モデルベースで、LTSpice や PSpice との互換があるようです。

また、別途3Dプリンタと FreeCAD という別途CADが必要ですが、kiCAD のプリント基板パターン設計にて、3Dモデルを扱う機能があり、この機能と FreeCAD を連携することで、ケース自体を3Dプリンタで製作することができるようです。

旧トライステート社の開発ボード継承を実現する上で、必ずしも KiCAD で設計業務をする必要性はないのですが、全体的な作業効率や今後の開発環境整備を考慮すると、こういう環境に順応しておくことは不可欠なので、移行をしようと決断した次第。

さて、早速インストール

KiCAD は 1992年頃、FreeCAD は 2002年10月下旬頃に初版リリースがなされ、両方共に無償利用が可能です。

https://www.kicad.org/download/ にWebブラウザでアクセスすると、下記のようなページが表示されます。〔2026/06/28 現在〕
20260628_1.png


最新バージョンは、記事公開時点で、10.0.5 です。やや頻繁にアップデートされています。
FreeBSD が無いのが不満ではあるが... ヽ(^^;
FreeBSD は正式サポートではないものの、有志な方々によって、Ports にて、KiCAD は最新バージョンへの追従がなされているようです。当然のことながら、 X11環境(いわゆる古き良きGUI)にて動作します。
FreeCAD も FreeBSD にて、最新版が Ports で提供されています。

「脱 Windows したい」と思いつつも、業務で必要なソフトウェアが、 FreeBSD 環境で揃わないため、仕方なく Windows を使い続けていますが、ここで Windows 版をダウンロードすると、インストーラ実行ファイルのサイズが 921MiB に達するため、それなりのダウンロード時間がかかりますし、空き容量も必要になります。

ダウンロードしたら、早速インストールの実行。
20260628_2.png
 
20260628_3.png
 
20260628_4.png


「NEXT >」をクリックしつつ、上記のように進めます。
次の画面で、必要な空き容量・インストール先と、残容量が表示されます。
20260628_5.png
 
20260628_6.png
 
20260628_7.png


通常はインストール先は変更せずに「Install」をクリック。しばしの時間がかかりますが、右側のような画面が表示されたらインストール完了です。

KiCAD の起動・使用する準備

起動すると、下記左側のようなメインメニュー画面が表示されます。
ここで、「ファイル(F)」→ 「新規プロジェクト...」をクリックします。
20260628_8.png
 
20260628_9.png


すると、「テンプレート」を選択する画面になります。
Arduino の拡張ボード製作用のテンプレート等あるようなのですが、ここでは迷わず「KiCAD のデフォルトテンプレート」を選びましょう。(下図画面参照)
また、KiCAD は、制作物を「プロジェクト」単位で管理するようになっているようです。
20260628_A.png
 
20260628_B.png


続いて、「プロジェクトフォルダ(ディレクトリ)」を設定する画面になります。
20260628_C.png

ここで指定した文字列がそのまま「プロジェクト名」になります。
日本語全角文字なんかが使えそうですが、予期せぬトラブルが起きると面倒なので、敢えて半角英数字を使いました。
また、「このプロジェクト用に新しいフォルダーを作成」はチェックを入れたままにしてください。

「プロジェクト」が作成されると、下記に示すように、
中身が空の回路図ファイルとプリント基板設計ファイルが作成され、準備完了です。
20260628_D.png


次は、KiCAD を使って、実際に回路図とプリント基板を設計し、気づいた点を簡単にまとめてみます。