2016/07/27(水)FreeBSD 10.3R 環境で dovecot 2.2.25 はそのままでは動作しない

2017/10/12 19:34 サーバ運営・管理
dovecot は、電子メール送受信サービスを実現する際に欠かせないサーバソフトウェアで、皆様が利用する多くのISPで採用されています。
弊社でも採用していますが、どうやら FreeBSD固有のバグがあるようです。
具体的には、
Last died with error (see error log for more information):
 kevent(EV_ADD, READ, 56) failed: Bad file descriptor
(実際は改行しません)

といったメッセージが起動時に発生し、サービスを全く提供出来なくなるという重篤な問題。
これは、日本語の情報がほぼ皆無ですが、以下のパッチで凌げます。(弊社でも確認済。)
#Ports でインストールする場合は、既にパッチが当たった状態でインストールされるので問題ありません。
画像をクリックすると見やすい大きさで表示されると思います。

20160728_1.png

20160728_2.png
〔参考URL〕 https://github.com/dovecot/core/commit/ffd8dc932516bc55bf01d91355540daab365e5e9

余りお勧めしませんが、次のバージョン 2.2.26 が出るのを待つ手もあります。

2016/07/17(日)プライベートCAの構築[FreeBSD] (2)

2017/10/12 19:33 サーバ運営・管理
前々回の記事 にて、プライベートCAの作り方のメモを書きました。

今度は、構築したプライベートCAを用いて、実際にサーバ証明書を発行するところまでメモしておきます。実際に発行する環境を整えるために、最初の一度だけ幾つか準備が必要です。

○ 準備その1- /etc/ssl/openssl.cnf の変更
以下のセクションを修正します。

[ usr_cert ]
basicConstraints=CA:false
(CA:true を CA:false に)

[ v3_ca ]
basicConstraints=CA:false
(CA:true を CA:false に)

これやらないと、証明書は発行できるものの、発行した証明書は不正証明書扱いになってしまいます。

○ 準備その2 - CA の公開証明書を pem 形式から der形式へ変換
# cd /root/BasekernelCA
# openssl x509 -in cacet.pem -inform PEM -out cacert.der -outform DER
ここで作成した der 形式の証明書ファイルを Webサイト公開ディレクトリ等に設置し、Webページからダウンロード出来るようにしておきます。

● いよいよサーバ証明書の発行
ここから先は、本物の認証局にサーバ証明書発行手続きをする際にもほぼ同じ手順が使用できます。但し、Unix系/Linux系のコマンドラインインタフェースが基本です。

○ 秘密鍵の生成
# openssl genrsa -out private.key 2048
この後生成する公開鍵とペアで使用されます。
ここでは 2048bit(256バイト) 長の秘密鍵を生成します。

一般的に「鍵長」とはこの秘密鍵の鍵長で、現在では 2048 bit 以上でないと、サーバ証明書発行を受け付けません。
また、-des3 や -aes128 などのパラメータを付加すると、パスフレーズ(パスワードと同じようなものだが、似て非なるもの)を付けることが出来ますが、サーバ用途においては却ってパスフレーズが邪魔になる(自動起動が できなくなる)ため、特に理由が無い限りは付けないほうがよいです。

○ CSR(署名申請書/Certificate Signing Request)の生成
# openssl req -new -sha512 -key private.key -out server.csr

You are about to be asked to enter information that will be incorporated
into your certificate request.
What you are about to enter is what is called a Distinguished Name or a DN.
There are quite a few fields but you can leave some blank
For some fields there will be a default value,
If you enter '.', the field will be left blank.
-----
Country Name (2 letter code) [AU]:JP
State or Province Name (full name) [Some-State]:Hokkaido
Locality Name (eg, city) []:Sapporo
Organization Name (eg, company) [Internet Widgits Pty Ltd]:Base Kernel Co,.Ltd.
Organizational Unit Name (eg, section) []:labo
Common Name (e.g. server FQDN or YOUR name) []:clione.basekernel.ne.jp
Email Address []:

Please enter the following 'extra' attributes
to be sent with your certificate request
A challenge password []:
An optional company name []:
この手順で、当該の例では暗号化された CSR が server.csr ファイルに作成されます。
ここで・・・

Country Name - ここは日本なので、ISO3166 で規定され、日本を示す2レターコード JP を指定します。

State or Province Name - 日本では都道府県に該当し、米国では州、中共では省です。筆者の組織は北海道にありますので、そのまま Hokkaido とします。

Locality Name - 市区町村名。筆者の組織は札幌市にありますので、そのまま Sapporo とします。 Sapporo-shi や Sapporo City でも大丈夫なようですが、個人的には好みではありません。

Organization Name - 組織名。英語表記の正式名称を記述します。
本物の認証局に対し CSR を発行する際は、ドメイン登録情報と比較したときに、ここを一字一句間違えただけでも発行を拒絶されることがあります。

Organizational Unit Name - 組織内部署名。省略可能ですが、同一組織が複数のサーバ証明書を必要とする場合、ここに何等かの情報を記述し、区別する必要があります。

Common Name - サーバの場合は、サーバのFQDN 名、電子メール認証の場合は、証明対象の電子メールアドレスを記述します。

Email Address 以降は通常、省略します。

本物の認証局に証明書発行依頼をする際は、殆どの場合、この server.csr の中身(テキストファイルです)をコピー&ペーストする仕組みになっていると思います。

○ CA局による証明書(公開鍵)の発行
# openssl ca -out server.pem -infiles server.csr
この操作により、
Enter pass phrase for /root/BaseKernelCA/private/cakey.pem:
と、プライベートCAを生成するときに設定したパスワードを入力後、
下記のように確認が促され、
20160717.png

Sign the certificate? [y/n] の問いに y で署名処理、
1 out 1 certificate requests certified, commit?[y/n] の問いに y で登録処理
がなされ、証明書ファイル server.pem が作成されます。
このファイルの中身(暗号化されたテキストファイル)が証明書本体です。

2016/07/16(土)サトーパーツの端子台 ML-1800-S1-Pxx

2017/10/12 19:31 電子工作
プライベートCA関係の記事の予定でしたが、これも自分メモ。。

左側が32端子あるタイプの ML-1800-S1-P32 という型番の部品、
右側が 6端子あるタイプの ML-1800-S1-P6 という型番の部品。
DSCF5420.JPG

この端子台は、横にいくつでもレゴブロックのように連結することができます。
話には聞いていたし、どこかでそういう説明も見かけた記憶があるのですが、実際に見たことが無いし、メーカーのカタログ等に説明が無い。

と、いうことで、将来同じ疑問を持つかもしれない方々のために検証出来たので記録しておきます。
先ず、左端は簡単にカバーを外すことができます。
DSCF5422.JPG

カバーを外すと金属端子がむき出しになります。それを覆うためのカバーですね。
ここからが重要なのですが、この端子台は最小2端子単位で簡単に分解できます。
DSCF5423.JPG

なので、品番としては 32端子ものの ML-1800-S1-P32 が入手可能な端子数としては最大ですが、連結してあたかもひとつの大きな端子台として実装することができます。
これは 32端子ものと 6端子ものを合体させて、38端子を構成した様子です。
連結の際は、連結する側の左端のカバーを外します。
DSCF5424.JPG

ちなみに右端は常にこんな感じになります。
DSCF5425.JPG

連結のための凹部があります。

2016/07/15(金)プライベートCAの構築[FreeBSD] (1)

2017/10/12 19:30 サーバ運営・管理
現在、弊社サーバネットワーク内部のSSL通信に使用しているプライベートCAによるサーバ証明書が SHA-1 ベースのため、SHA-2 に移行すべく準備作業中です。
7年半前に構築したきりですので、構築手順を忘れています・・・orz
ということで、2回の記事に分けて投稿します。いつものメモです。

具体的には、弊社のVPN接続と電子メール送受信(TLS 又は SSL を使用している場合のみ)に影響があります。新しい証明書に入れ替えて頂く必要があります。

きちんとした正式認証局のものを使うべきだろう、、という声も聞こえてきそうですが、弊社暗号化通信サービスに閉じた用途ですし、逆に汎用的に使われては困るので、弊社プライベートCAでの運用としています。

● 先ずは、スクリプトの修正
Google先生の検索では、Linux ベースの CentOS の事例ばかりで、FreeBSD の事例はほぼ皆無。
ですが、ファイルの置き場所以外に大差ありません。
FreeBSD の場合は、 /usr/src/crypto/openssl/apps/CA.sh を編集します:
(63行目付近)
if [ -z "$DAYS" ] ; then DAYS="-days 395" ; fi  # 13 month
CADAYS="-days 14610"    # 40 years
REQ="$OPENSSL req $SSLEAY_CONFIG"
(71行目付近)
if [ -z "$CATOP" ] ; then CATOP=/root/BaseKernelCA ; fi
CADAYS はCAの有効日数。
CATOP はCAにて発行する証明書の管理トップディレクトリです。
共に適宜の値を指定します。

変更したら、
# chmod +x /usr/src/crypto/openssl/apps/CA.sh
として、スプリプトを実行可能状態にしておきます。

●次に /etc/ssl/openssl.cnf の修正
FreeBSD においては、opensslの設定ファイルは、/etc/ssl/openssl.cnf にあります。

このファイルは、セクション単位に設定項目がまとまっています。
セクション内の該当パラメータを以下のように修正します。
[ CA_default ]
dir             = /root/BaseKernelCA
default_days    = 7305
default_crl_days= 30
default_md      = sha512
policy          = policy_match

[ policy_match ]
countryName             = match
stateOrProvinceName     = supplied
organizationName        = supplied
organizationalUnitName  = optional
commonName              = supplied
emailAddress            = optional

[ req ]
default_bits            = 2048
default_md              = sha512

[ req_distinguished_name ]
countryName_default             = JP
stateOrProvinceName_default     = Hokkaido
0.organizationName_default      = Base Kernel Co., Ltd

[ usr_cert ]
basicConstraints=CA:true
nsCertType                      = server

[ v3_ca ]
basicConstraints = CA:true
nsCertType = sslCA, emailCA
この修正で、鍵長デフォルト 2,048bit、暗号化ハッシュ SHA-2(SHA512) に対応します。
修正したら、プライベートCAの構築です。(以下、一部テキスト伏字処理あり)
# /usr/src/crypto/openssl/apps/CA.sh -newca
CA certificate filename (or enter to create)

Making CA certificate ...
Generating a 2048 bit RSA private key
...............................................................+++
.......................................+++
writing new private key to '/root/BaseKernelCA/private/./cakey.pem'
Enter PEM pass phrase:       (CAパスフレーズ入力)
Verifying - Enter PEM pass phrase: (もう一度同じCAパスフレーズ入力)
-----
You are about to be asked to enter information that will be incorporated
into your certificate request.
What you are about to enter is what is called a Distinguished Name or a DN.
There are quite a few fields but you can leave some blank
For some fields there will be a default value,
If you enter '.', the field will be left blank.
-----
Country Name (2 letter code) [JP]:      (JP でよいのでこのままリターン)
State or Province Name (full name) [Hokkaido]:(Hokkaido でよいのでこのままリターン)
Locality Name (eg, city) []:Sapporo
Organization Name (eg, company) [Base Kernel Co., Ltd]:
Organizational Unit Name (eg, section) []:Base Net
Common Name (eg, YOUR name) []:Base Kernel CA
Email Address []:hoge@example.com

Please enter the following 'extra' attributes
to be sent with your certificate request
A challenge password []:   (このままリターン)
An optional company name []: (このままリターン)
Using configuration from /etc/ssl/openssl.cnf
Enter pass phrase for /root/BaseKernelCA/private/./cakey.pem:
Check that the request matches the signature
Signature ok
(以下省略)
実際には続いてこんな感じで詳細が出力されます:
20160715.png

この例では、/root/BasekernelCA/cacert.pem にCAの証明書が生成されます。
この証明書は、後でサーバ証明書を発行する際に、一緒にCA証明書として通知を行います。

また、この例では証明書の有効期間を 40年としていますが、こういうアホな証明書も発行できるということでご参考にどーぞ。

次の記事は、このプライベートCAを用いたサーバ証明書の発行方法です。
#以前は出来なかったんです。はい。確か、2036年くらいが限界でした。