日本においては、10数局しか実施していません。1992年から1993年頃を中心に、相次いでAMステレオが実施されています。 日本での普及が進まなかった一番の理由に「NHKが設備整備に費用がかかるAMステレオ対応を見送った」とされていますが、本当の理由は当時(1992年頃)既に決定していて、現在進められている「地上ディジタルTV整備」にあると見ています。
AMステレオ対応のラジオも高価でしたが、価格を押し上げていた原因のひとつに、特許料の問題がありました。
しかし、現在は特許が切れているようなので、やる気になれば昔より安価に出来るはずです。
現行のAMステレオ放送の方式には主に2つあり、ひとつは「モトローラ方式」と呼ばれる世界標準となっているもの、もうひとつは、モトローラ特許を回避するために考案されたと言われている「カーン方式」と呼ばれるもの。
日本のAMステレオは「モトローラ方式」で、従来のAMステレオ非対応のラジオでも今まで通りに使えるという特徴があります。 韓国とアメリカでは「カーン方式」が採用されており、両者に互換性はありません。
中波AMステレオの場合、主な需要と思われるのは、やはり野球中継でしょうか。
確かにステレオ放送のスポーツ中継は良いものがあります。
ですが、現在は、 AMステレオの認知が低い → AMステレオ対応のラジオが売れない → AMステレオの良さがわからない → AMステレオが商業的に今ひとつ → AMステレオの周知に力入らない → AMステレオの認知が低い
という悪循環スパイラルでも起きているのかもしれません。
地上ディジタルラジオで中波AMとパラ(同時放送)でステレオ放送する構想もあるようですが、これはVHF帯であり、聴取可能エリアの点で不利です。また、中波AM放送というのは、自動車で移動しながら聞くという聴取者も結構多い訳でして、野球中継を聞きながら自動車で長距離移動するスタイルの人が多いのを知る当方としては、そういうのは聴取ニーズの分析がかなりずれているのでは? と感じてしまいます。