2014/03/13(木)トランジスタによる論理反転の無い 3.3V → 5V/12V etc.. レベルシフト

昨今では、このような課題はICを使えば済むのですが、
ICを使うほどでも無いとか、使えないとか言う場合も多々あります。

今回は、ICを使うほどでも無いのと、電源電圧の問題でトランジスタによるレベルシフト(しかも、論理反転しないもの)が必要でした。

たぶん、一定の汎用性があると思います:
20140313.png

Vcc は、レベルシフト後のHレベル電圧より若干高い電圧を与えます。
ここでは例示として、 6V としましょう。

Rc は、Hレベルのときに流れる電流で電圧降下を起こすので、その電流を加味して決めます。
ここで 100μA と仮定すると、10kΩでは1V の電圧降下になります。

RB1 と RB2 は、ベース電極の電圧が、Hレベルとして判定させたい電圧 + VBE(0.6V) になるように分圧するようにします。

ここでは、RB1 と RB2 は同じ 30kΩなので、ベース電極の電圧は 3V になり、エミッタ電極の電圧が 2.4V 以上になれば、Hレベルと判定されます。

ところで、提示の回路には、ダイオードが入れてあります。
これは、回路的にVEBOを超える逆電圧が加わる可能性があったために入れたもので、通常は不要と思います。ちなみにこのダイオードを入れると、エミッタ電圧がダイオードの順方向電圧分だけシフトした形になり、更に 0.6V 低い電圧 1.8V 以上でHレベルと判定されることになります。

つまり、この回路は、トランジスタのベース・エミッタ間電圧(VBE)が 0.6V 以下なら、トランジスタは OFF(C-E間は非導通)するので、Vcc の電圧がそのまま OUT に現れ、
0.6V を超えると、トランジスタは ON (C-E間導通)するので、コレクタ電極の電圧がほぼゼロになるという動作を、エミッタ電極に与える電位差でコントロールしています。
Lレベルのとき、RC によって電流制限されるので、このときの電流にも留意する必要があります。この回路定数では、VCE(sat) を無視すると、600μA になります。

C-MOS IC の場合は問題ありませんが、TTL IC を接続する場合は、この回路定数では問題が起きると思います。RC を適宜変更してください。
RB1 と RB2 は、トランジスタの hFE分の1×10倍程度以上のアイドリング電流が流れれば十分です。あまり小さい抵抗だと、回路の消費電流が無駄になるだけですので、RC の数倍から10倍程度でいいでしょう。

2014/01/23(木)NPN 型単安定マルチバイブレータ

2017/10/12 5:54 電子工作
これが案外苦労したので、自分メモ。。
基礎の範疇ですが、「マルチバイブレータ」と称する電子回路には

・非安定マルチバイブレータ
・単安定マルチバイブレータ
・双安定マルチバイブレータ

の3種類があります。電子回路を勉強している方なら、皆知っている。

Google 先生に尋ねれば「非安定マルチバイブレータ」の実例集は多いが、
単安定マルチバイブレータは殆ど出てこない。
それは、「非安定マルチバイブレータ」が基本回路であり、
単安定と双安定は応用の範疇だからです。

今般、システム設計の依頼があったため、要件仕様を満たすために、単安定マルチバイブレータを、トランジスタで組むことにしたのです。

単安定マルチバイブレータは、短いパルスを一発出すと、より長時間の一定時間単発パルスを出す回路です。
簡単にいくと目論んでいたが、教科書どおりに回路組んでもまともに動作しない・・・

結局、落ち着いたのが以下の回路:
20140123.png

この回路定数で約7秒弱のアクティブHなパルスが出力(Q2 のコレクタ電極)に出てきます。
このパルス幅は、0.693R42 (sec) になります。
1とR2でCR微分回路を形成し、押しボタンスイッチを押すことで、トリガパルスを発生させます。図中の回路定数では、計算上では、10nF × 10kΩで 100μs になります。

図中では、アクティブHのトリガパルスをQ1 のベース電極に与えていますが、古い文献ではアクティブLのトリガパルスを、Q1 のコレクタ電極に与え、更にQ1 のベース電極を負電源に接続したり、抵抗を介して接地している例示が多いですが、抵抗を介して接地する方法を実際に試すと、まともに動作しないようです。回路定数の問題かもしれませんが、、

また、負電源なんて論外。実用的にそのような面倒且つコストアップに繋がる回路は採用できません。

CR微分回路は、この回路の場合、スイッチを離したときに負電圧のパルスが出るため、それを阻止するために、D1を入れます。こうすることでトランジスタQ1の破壊を防ぐ役割もあります 。

3 は、C2の充電電荷による、トランジスタQ2の逆耐圧破壊を防ぐためのものです。電源は +12V であり、このトランジスタ(2SC1815) のベース-エミッタ間逆耐圧は 5V しかないため、逆耐圧が 30V 以上あるダイオードで保護するのです。ここは最大で 12V の逆電圧がかかる可能性があります。

2 は、ダイオードD3 を入れることで、0.6V 程度の電位差が生じ、安定動作を妨げるため入れてあります。このあたりが実用にあたって、教科書どおりでは駄目なところらしい。

本当は手持ちの余りがあった PNP型トランジスタ 2SA1015 でやりたかったのですが、これもどうも上手く出来なかったのでした。これは恐らく回路組み上げのミスでしょう。
基本的にPNP型でも出来るはずなので。。。